T-OSAKA|トサカノート

金子淳さん(金子農園)インタビュー/京田辺市(京都)の注目有機農家

珍しい品種の野菜を作る理由

―昨年1年間でよく売れた野菜は何ですか?

ズッキーニが意外と売れましたね。あまり西洋野菜を作っている人がいないっていうのが要因の一つだと思います。現在は京田辺をはじめ4カ所の直売所に野菜を置いてもらっているのですが、同じ直売所に出している農家さんは若手の人が少なく、一般的な野菜が並んでいるので、競争相手が少ない野菜がよく売れますね。そういう意味ではミニトマトなんかも人気でしたね。

―そのズッキーニも西洋野菜ですが、変わり種を育てている理由は?

やはり買う側の立場で考えていて、スーパーでも見かけない野菜、今まで見たこともないような野菜が並んでいると面白いですから。あとは見た目に美しい色鮮やかな野菜も意図的に多めに作っていて、ニンジンだと昨年は普通のオレンジ色のほかに黄色、紫の品種も育てました。今年新たに作っているのは、赤く丸いレタスのような「トレビス」。あとはイタリア料理などに使う「ルッコラ」。それに「食用のホウヅキ」や「イタリアンナス」なんかも作ります。万願寺や茄子、大根などの定番の野菜をしっかり収穫しつつ、こういった変わり種の品種を作るのもまた楽しいんです。

金子農園で収穫された野菜
農業との出会い

―そもそも金子さんが農業を始めたきっかけを教えてください。昔から農業を志していたのでしょうか。

そういうわけではないですが、高校生の頃から、将来はものづくりと自営業がしたいといいう気持ちがありました。別にサラリーマンが嫌とかではなく、いずれは一人で何かやってみたいという漠然としたものです。

―始める決意をしたのはいつですか?

31歳の時ですね。それまで何も変わらず会社員として仕事を続けてきて、このままいくのか、ここで一度新しい道に踏み出してみるのかっていうことを考えていて、やるならここが最後のチャンスだなと。このままでは普通に暮らして終わってしまう人生になってしまうという不安がありましたし、何をするかどうかは別に、チャレンジすることを決めました。

―そこからどのように農業に行き着いたのでしょうか?

手に職をつけて一人でできる仕事は何かを模索していたとき、ちょうど国が青年の就農支援に積極的に動き出していた時期だったこともあり、私と同世代の人で、まったく知識もない状態から農業をしている人がいるかを興味本位で調べてみたんです。農業といえば家業として代々引き継いでいるという印象がありましたが、実際には会社を辞めて新たに農業に従事している若い人たちが意外にも多いことが分かりました。

―そこで農業に興味を持ち始めたということですね。

とりあえず話だけでも聞きに行こうと「新規就農フェア」という農業の説明会に参加し、そこから京都の桂川と淀の2カ所で農業体験をさせてもらいました。収穫なんかも手伝わせてもらったのですが、やはり少しの体験だけではいまいち実感が湧きませんでした。それならば脱サラして一から農業を始めて成功されている方に話を聞いたほうが良いと思い、高知県の農家さんにメールでお願いし、2日間体験に行かせてもらうことになりました。そこでは珍しい品種をたくさん作っていて、話を聞いても本当に楽しそうに仕事をされていて、私もやってみたいなと思うようになりました。

―大阪からわざわざ高知県まで足を運ばれたわけですね。

そこから本格的に農業の勉強を始めようと思い立ったのですが、高知に毎回通うのは難しいので、京都、大阪で同じような脱サラ農家さんを調べて、現在の先輩である山本さんの農園で勉強させてもらうことになりました。山本さんもすごく丁寧に、そして熱心に野菜を作ってらっしゃって、しかも農業一本で生活が成り立っていました。

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